不正な富で友を作りなさいのたとえ話の本文と解説【ルカの福音書】

2022年11月13日

ここに書いてある解説は地元の教会(プロテタスタント)の牧師の説教を書いています。

 

たとえ話の概要

キリスト教の聖書、新約聖書の中で救い主であるイエス・キリストご自身が話されたたとえ話の中の一つ。
金持ちの主人とその財産を管理と無駄遣いしている管理人の話です。
聖書のなかでは「不正にまみれた富」と書かれています。

大金持ちの主人
管理人の財産を預けている人

管理人
主人の財産を管理している人。
具体的には誰にいくら貸しているか管理しているが主人の財産を無駄遣いしている。

 

話の流れ
管理人の主人の財産で無駄遣いを行っていた。
管理人は主人に無駄遣いの件が耳に入ったこと(バレたこと)を知り、仕事がクビになった時のことを考えて、主人からお金を借りている人に借用書の金額を減らして恩を売った。
管理人は恩を売ってクビになった後にお世話になろうと考えていた。
それを見た主人は管理人を褒めている。

文面をそのまま読むとイエス・キリストが反社会的な事(主人の財産の無駄遣い)を推奨しているように読めてしまう内容。

 

聖書の本文と解説

新共同訳聖書2010年版の本文を引用しています
新約聖書 ルカの福音書16章1節~13節

 

「不正な管理人のたとえ」

1節
イエスは、弟子たちに次のように言われた。「ある金持ちに1人の管理人が居た。この男が主人の財産を無駄遣いしていると、告げ口をするものがあった。

2節
そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』

3節
管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。

4節
そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』

5節
そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。

6節
『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて五十バトスと書き直しなさい。』


7節また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』


解説
4節で語られているように管理人は借りている人の借金の額を減らすように書き直させている。
借りていた人は返済する額が減ったので管理人に恩ができることになる。
管理人は恩を売ることによって仕事が無くなった後にお世話になろう、という計算がある。


8節
主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。

抜け目のなさを(頭の回転と行動力)を褒めているのであって、不正をしたことを褒めているのではない。

 

 

9節
そこで、わたしが言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎い入れてもらえる。


不正にまみれた富=神の国に持って行くことのできない財産。
具体的にはお金、才能など。

友達
遊び友達ではなく、信仰の友達(良き隣人)

永遠の住まい
天国のこと


10節
ごく小さなことに忠実なものは、大きなことにも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である。

11節
だから、不正にまみれた富について忠実でなければ、だれがあなたがたに本当に価値があるものを任せるだろうか。

不正にまみれた富について忠実でなければ
=自分の持っている財産、才能、時間など無駄遣いをせず、正しく使わなければ

 

 

12節
また、他人のものについても忠実でなければ、だれがあなたがたのものをあたえてくれだろうか。

13節
どんな召し使いも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは神と富とに仕えることはできない。」

神と富に両方に仕えることはできないので、神に仕え、不正にまみれた富を忠実に使いない、との教え。

 

 

 

キリストが言いたかったことのまとめ

この管理人は現世の人としてずる賢く生きている。
=自分(使用人)がどのように立ち回れば仕事をクビになったときに困らないか考え、実行している。

自分に与えられた不正な富(財産、才能)を忠実に使い、友(信仰の友、良き隣人)を作りなさい。
隣人を作る=人を愛しなさい
そうすれば永遠の住みか(天国)に迎え入れられる。


小さなことにも忠実な人に大きな仕事も任せることができる。
2人の主人には仕えることはできない。
2人とは財産と神のことを例えています。

 

 

まとめると

神に仕えるために不正な富(財産、才能)を使いなさい
人は2人の主人に仕えることはできない。
富に仕えるな、神のために富を使いなさい、他人の富にも忠実でありなさい。
(信仰の)友の為に財産を使い、小さなことにも忠実に、というメッセージ。

 

以上でこの記事は終わりです。
最後までお読みくださってありがとうございました。